中国オートクチュールの第一人者・グオ・ペイ、杭州で約200点の作品を公開

2026年11月3日 - 未分類

中国を代表するオートクチュールデザイナー、郭培(グオ・ペイ)の服飾芸術を紹介する展覧会「霊境花園(Garden of Ethereal Realms)郭培 服装芸術特別展」が、浙江省杭州市の中国シルク博物館で開催されています。展覧会は2026年9月27日に開幕し、2027年8月31日まで行われる予定です。

画像:潮新闻

今回の展覧会では、郭培が約40年にわたって手がけてきた作品から、200点を超えるオートクチュール作品を展示しています。郭培の創作の歩みをこれほど大規模かつ体系的に紹介する個展は、これまでで最大規模のものとなります。

展示は「時光・寓言・重生」「築夢・伝説」「夢嶼花園」「東・宮回響」という4つの章で構成されています。『輪回』『一千零二夜』『龍的故事』『伝説』『童夢奇縁』『心霊花園』『極楽島』『東宮』など、郭培を代表する9つのシリーズを通して、生命、愛、夢、東洋の神話といったテーマを読み解く内容です。

第1章では、生命の循環や再生を表現した『輪回』、女性の成長を物語る『一千零二夜』、中国の龍文化を立体刺繍で表現した『龍的故事』を紹介します。特に、刺繍を立体的に盛り上げる「浮彫刺繍」や、詰め物を使って質感を出す技法が見どころです。

画像:潮新闻

第2章の「築夢・伝説」では、建築と服飾の関係に焦点を当てます。『建築』シリーズは、ゴシック建築の尖塔やアーチ、ステンドグラスから着想を得て、衣服を「歩く建築物」として表現しています。立体的なシルエットや幾何学的なライン、幾重にも重なるスカートの構造が、彫刻のような存在感を生み出しています。

「夢嶼花園」では、淡い色彩や折り紙のような造形を取り入れた『童夢奇縁』、花の成長を生命の誕生と重ね合わせた『心霊花園』、現実から浮かぶ想像上の島を描いた『極楽島』が並びます。精緻な刺繍や重厚な装飾で知られる郭培の作品の中でも、柔らかく幻想的な世界観を楽しめる展示です。

最終章の「東・宮回響」では、月宮の嫦娥や龍宮、瑞獣など、中国の神話や宮廷文化をモチーフにした作品を紹介します。幅広の袖、立襟、斜めに重なる前合わせなど、伝統的な服飾の形に現代的な裁断や素材を組み合わせ、東洋の宮廷美を現代のオートクチュールとして再構成しています。

会場には、郭培の服飾作品に加えて、折り紙を使った特別なインスタレーションも展示されています。紙を折り、組み合わせ、空間の中で立体化することで、衣服の輪郭や重なり、力強さを表現する作品です。刺繍や織物、手仕事によって生まれる高級仕立ての造形を、紙という異なる素材から見つめ直す試みとなっています。

郭培は、伝統的な手仕事と現代的な服飾デザインを組み合わせることで、東洋の美意識を世界に発信してきました。2008年北京五輪の表彰式用ユニホームを手がけたほか、2015年には歌手のリアーナが郭培の黄色いドレスを着用してメットガラに登場したことで、国際的にも大きな注目を集めました。中国の刺繍、錦織、螺鈿などの技法を取り入れた作品は、ファッションと美術、伝統文化の境界を越える表現として評価されています。

中国シルク博物館で開催される今回の展覧会は、現代の高級仕立てをシルクや服飾文化の長い歴史の中に位置づける試みでもあります。杭州で郭培の40年にわたる創作を一望できる「霊境花園」は、伝統工芸が現代ファッションの中でどのように生まれ変わるのかを示す展覧会となっています。

Guo Pei 郭培 の輝かしい経歴

郭培(グオ・ペイ)は、中国で初めてオートクチュールの道を切り開いたデザイナーの一人です。「東学を体とし、西学を用とする」という理念を掲げ、東洋の伝統文化を創作の核に据えながら、西洋の技術やデザインを取り入れ、オートクチュールの芸術性を新たな高みへと押し上げてきました。これまでに、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、パリの装飾芸術美術館など、世界有数の文化機関で作品が紹介されています。

画像:Guo Pei Official Website

また郭培は、中国出身者として初めて、そして現在も唯一、フランス・オートクチュール・モード連盟(Fédération de la Haute Couture et de la Mode)から正式に招待されたデザイナーです。10回連続でオートクチュールコレクションを発表した実績を持ち、アジア・クチュール連盟からは「アジアン・クチュリエ・エクストラオーディネール」の称号も授与されています。

2016年には、米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。そのほか、北京五輪の式典衣装デザインでの金賞、フランス政府から贈られた芸術文化勲章、イタリア・フィレンツェ市から授与された名誉称号「フィレンツェの鍵」など、数々の栄誉を受けています。

      

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