中国のUnitree Roboticsが上海証券取引所に上場、初値は発行価格の約7.3倍
四足歩行ロボットやヒューマノイドロボットを手掛ける中国のUnitree Robotics(宇樹科技)は8月19日、上海証券取引所の科創板に上場(銘柄コード:688836)しました。発行価格150.80元に対し、初値は1,100元となり、629.44%上昇。株価はその後に伸び悩み、終値は845元でしたが、それでも上場初日の終値ベースで460.34%高となりました。
上海証券取引所の上場公告書によると、公開発行株式数は4,044万6,434株で、公開発行後の総株式数は4億446万4,340株。上場初日に取引できる、流通制限のない株式は3,008万7,720株にとどまり、発行後総株式数の7.44%でした。既存株主の保有株式や戦略的配售(戦略投資家への割当)などにロックアップ期間が設定されているため、上場直後の流通株式が少ないことが株価の大きな変動につながった可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日 | 2026年8月19日 |
| 発行価格 | 150.80元 |
| 初値 | 1,100元(発行価格比629.44%高) |
| 終値 | 845元(発行価格比460.34%高) |
| 公開発行株式数 | 4,044万6,434株 |
| 上場後総株式数 | 4億446万4,340株 |
| 上場時の募集資金総額 | 60億9,932万2,000元 |
| 発行費用控除後の募集資金 | 59億1,714万9,200元 |
株価が終値まで845元を維持した場合、時価総額は約3,420億元(約507億米ドル)に達します。これは、発行価格をもとにした上場時の想定時価総額約609億9,300万元の5倍を超える水準です。 一方で上場公告書は、発行価格が2025年の売上高をもとにした株価売上高倍率(PSR)35.89倍、発行後の利益をもとにした株価収益率(PER)219.23倍に相当し、比較対象企業のPSR平均や業種平均PERを上回ると説明しています。会社側も投資家に対し、新規上場銘柄の値動きに追随せず、リスクを慎重に判断するよう注意を促しています。
売上高は2年で約10倍に拡大
Unitree Roboticsは、汎用ヒューマノイドロボット、四足歩行ロボット、ロボット部品、具身知能モデルの研究開発・生産・販売を行っています。中国語で「具身智能」と呼ばれる具身知能は、ロボットが周囲の環境を認識し、状況に応じて判断しながら現実世界で作業するための技術領域です。同社は高性能な四足歩行ロボットを一般向けに販売し、産業分野にも展開してきた企業として位置づけられています。
新華社によると、同社の売上高は2023年の1億5,900万元から、2024年の3億9,300万元、2025年の16億9,900万元へ増加。2025年の純利益は2億7,800万元で、2023年の赤字から黒字へ転換しています。 上場公告書では、2025年の売上高を16億9,926万9,300元、非経常損益控除前後のうち低い方を基準とした親会社株主帰属利益を2億7,821万500元としています。
ただし成長がそのまま続くとは限りません。上場公告書によれば、2026年第1四半期は売上高の前年同期比伸び率が68.49%に低下し、非経常損益控除後の利益は研究開発費や販売費などの増加を背景に52.55%減少。ロボットの商用化が想定を下回ること、競争激化による販売価格や利益率の低下、研究開発投資が期待した成果を上げないことなどを主なリスクとして挙げています。
調達資金はロボットの「頭脳」と量産体制へ
Unitree Roboticsは今回の新規株式公開で、発行費用控除前で約60億9,932万元、控除後で約59億1,715万元を調達しました。6月の新華社報道では、IPOで42億200万元を調達する計画とされていましたが、最終的な上場公告書では募集条件が更新されています。
調達資金は、具身知能モデルの研究開発、ロボット本体の開発、新型インテリジェントロボット製品の開発、インテリジェントロボット製造基地の建設などに充てられます。これまで同社が強みとしてきたのは、ロボット本体の構造や運動制御といった、いわば「体」と「小脳」にあたる領域でした。今後は、環境理解、意図の把握、自律判断、作業実行を担う具身大模型、すなわちロボットの「頭脳」にあたる技術と、実際の現場データを用いた訓練への投資を強化する方針です。
中国では完成品メーカーに加え、自動車や消費電子機器を手掛ける企業もヒューマノイドロボット事業への参入を進めています。上場で得た資金を使って、宇樹科技が製品の量産、現場導入、ソフトウエアの高度化をどこまで進められるかが、今回の高い市場評価に応えられるかどうかを左右しそうです。
なお同社の上場公告書は、海外売上高が過去の各年度で売上高の40%を超えていたことにも触れています。米国市場向け売上高も一定の比率を占めており、今後のロボット輸出では、貿易摩擦や認証・輸出規制の影響も経営上の論点となります。 8月20日時点の中国語報道では、上場初日の急騰と3,400億元超の時価総額が主に報じられていますが、今後は株価の定着だけでなく、研究開発投資を商用化と安定収益につなげられるかが焦点になります。
[1] Dao Insights:Unitree shares soar 460% on Shanghai debut
[2] 上海証券取引所:宇樹科技首次公開発行股票科創板上市公告書(2026年8月18日 )
