LenovoがCES 2026で描くAIの未来:NVIDIAとの「AI工場」から独自AI「QIRA」まで

世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」において、レノボ・グループ(以下、レノボ)は、従来のPCメーカーという枠組みを超え、AIインフラからパーソナルデバイスまでを網羅する「フルスタックAI企業」としての存在感を強く示しました。
今回の発表の目玉は、NVIDIAとの提携拡大による「エンタープライズAIクラウド・スーパーファクトリー」の構築と、デバイスやOSの垣根を越える独自AI「QIRA(キラ)」の構想です。本記事では、日本の読者の皆様に向けて、レノボが示す次世代のAI戦略を分かりやすく解説します。
NVIDIAと構築する「AIスーパーファクトリー」
レノボのヤンチン・ヤン会長兼CEOとNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、大規模なAIトレーニングと展開を高速化するための「AIクラウド・スーパーファクトリー」を発表しました。このプロジェクトは、システム導入からAIが実際に回答を生成するまでのタイムラグ(Time to First Token)を最小限に抑えることを目的としています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| プロジェクト名 | エンタープライズAIクラウド・スーパーファクトリー |
| 規模 | 数十万個のGPUへスケール可能 |
| 対応モデル | 1兆パラメータ規模の巨大モデル、エージェント型AI |
| 提供時期 | 2026年後半に顧客へのデリバリー開始予定 |
この「工場」は、単なる計算資源の提供に留まらず、企業が独自のAIモデルを迅速に構築・運用するための基盤となります。レノボは今後3〜4年で、NVIDIA関連のビジネス規模を現在の4倍に拡大する計画を掲げています。
独自AI「QIRA」:ChatGPTと競合しない「司令塔」
コンシューマー向けで最も注目を集めたのが、新たなパーソナルAI「QIRA(キラ)」です。これはPCやスマートフォン、ウェアラブル機器など、異なるデバイス間をシームレスにつなぐ「スーパーエージェント」として設計されています。
QIRAの最大の特徴は、ChatGPTやGoogleのGemini、MicrosoftのCopilotといった既存のAIサービスと競合するのではなく、それらを束ねる「オーケストレーション(制御)」の役割を担う点にあります。ユーザーの依頼内容に応じて、どのAIモデルを使うのが最適かをQIRAが判断し、裏側で各サービスを呼び出す仕組みです。
また、プライバシー保護とコスト最適化のため、クラウドとデバイス内(ローカル)での処理を使い分ける「ハイブリッドAI」構成を採用しています。これにより、機密性の高い情報は手元のデバイスで安全に処理しつつ、高度な計算が必要なタスクはクラウドを活用するという、柔軟な使い分けが可能になります。
AI PCの進化と好調な業績
ハードウェア面では、インテルとの共同構想による次世代の「Aura Edition AI PC」や、クリエイター向けの「Yoga Pro 9i Aura Edition」などが発表されました。レノボのAI PCは既に世界市場で31%を超えるシェアを獲得しており、AI関連デバイスが同社の収益を力強く牽引しています。
2025/26年度上半期の業績報告によると、レノボの売上高は約392.8億ドル(前年比18%増)、純利益は40%増と極めて好調です。AIが単なる流行(トレンド)から、実利を伴うビジネスへと確実に移行していることが伺えます。
まとめ:私たちの生活はどう変わるのか
レノボがCES 2026で示したビジョンは、AIが単なる「便利なツール」から、デバイスやOSの違いを意識させない「パーソナルな相棒」へと進化することを示唆しています。
「私たちがやりたいのは、基本的にユーザーのすべてのデバイスをつなぐことです」
ヤン会長が語ったこの言葉通り、QIRAのようなAIが普及すれば、PCで作業していた内容をスマホのAIが引き継ぎ、最適なタイミングでサポートしてくれるような未来がすぐそこまで来ています。2026年後半から順次展開されるこれらの新技術が、日本のユーザーのライフスタイルをどのように変えていくのか、今後の展開に注目が集まります。
参考リンク:
•Lenovo CES 2026: Nvidia partnership fuels AI cloud super factory (Dao Insights)
•「ChatGPTとは競合しない」レノボがCES 2026で新型PCよりも推した独自AI「QIRA」の狙い (Business Insider Japan)
