エミレーツ航空の中国路線拡大とUAEのビザ免除延長:深まる中東と中国の絆
ドバイを拠点とする世界有数の航空会社エミレーツ航空が、中国市場での存在感を再び強めています。7月初旬には深圳への直行便を開設し、さらに7月30日からは杭州への新規就航も予定されており、中国本土へのアクセスが大幅に強化されます。

エミレーツ航空は2002年に上海への貨物便で中国市場に参入し、2004年には上海、2006年には北京、2008年には広州へと旅客便を拡大してきました。しかし、これまで就航都市はこれら3都市に限定されていましたが、今月の深圳と杭州への新規就航により、そのネットワークは飛躍的に拡大します。
今回の深圳と杭州の選定は、中国のアウトバウンド旅行市場の活況と、ドバイがテクノロジービジネスの中心地としての地位を確立しようとする動きを反映しています。深圳は中国の多くのテクノロジー企業やイノベーション企業の本拠地であり、アリババの本社がある杭州もまた、革新的なビジネスが盛んな都市です。エミレーツ航空によると、これらの新規路線はビジネス渡航者の需要が主な原動力となっています。しかし、西湖をはじめとする美しい景観と長い歴史を持つ杭州は、観光地としても大きな魅力を持っています。
このような航空路線の拡大を後押しするように、アラブ首長国連邦(UAE)は最近、中国人に対するビザ免除期間を90日に延長しました。4月中旬には、中国大使館とドバイ総領事館が共同で、中国国民に対するビザ免除政策の調整を発表しました。この調整された政策により、有効期間が6ヶ月以上の中国の一般パスポートを持つ者は、ビザなしでUAEに入国できるようになり、180日ごとに90日間滞在することが可能になります。これは、以前の30日間のビザ免除措置を大幅に延長するものです。
エミレーツ航空の2024-2025会計年度の財務報告によると、同社は過去最高の349億ドルの収益を上げ、税引前利益は58億ドルに達し、世界で最も収益性の高い航空会社の一つとなっています。今回の新規路線の開設は、中国とアラブ首長国連邦の間で新たに締結された航空自由化協定(Freedoms of the Air talks)の結果でもあります。中国と湾岸諸国間のビジネス協力の深化と、相互の観光への関心の高まりを受け、中国東方航空などの中国系航空会社も中東でのプレゼンスを拡大しています。
中国のライフスタイルプラットフォーム「Rednote」では、「UAE」(#阿联酋)のトピックが3億7180万回、「UAE旅行」(#阿联酋旅行)が3110万回閲覧されるなど、UAE、特にドバイは旅行、投資、ビジネスの人気の目的地となっています。4月21日には、ドバイがBaiduのApollo Goロボットタクシー事業と契約を締結し、2026年のサービス開始を目指して自動運転車の試験運用を開始するなど、中国とUAEの関係は世界的な貿易変動の中で深化しています。
今回のエミレーツ航空の中国路線拡大とUAEのビザ免除延長は、両国間の経済的・文化的交流のさらなる活発化に寄与するものと期待されます。