高齢者や子供向け「コミュニティ食堂」がなぜ中国の若者に人気?

中国の「社区食堂(コミュニティ食堂)」は元々、高齢者にサービスを提供するために設置された。しかし、様々なタイプのコミュニティ食堂が続々と登場し、最近では「家庭の味」を売りにした食堂も登場し、利用する若者がどんどん増えている。フードデリバリーは飽きてしまったものの、自炊する時間はないという若者が、コミュニティにある「隠れ家食堂」に目を向けるようになっている。微博(ウェイボー)で最近、「メディア専攻の大学院修了者が仕事を辞めてコミュニティ食堂経営」というハッシュタグが付いた話題が検索トレンド入りした。その後、オーナーの何花さんが経営する「大餐社区食堂」には、多くの若者が噂を聞いて駆けつけ、写真を撮影したり、食事をしたりしており、さらに、何さんに起業のノウハウを聞く人もいるという。

同店はセルフサービス形式で、高齢者の場合10元(1元は約19.9円、約200円)、一般客は15元(約300円)でおかず4種類を食べることができ、さらにスープも付いてくる。とてもリーズナブルであるため、1日に約150食売れるという。靳翔鷺さんは、全ての年齢層の客を対象にしたコミュニティ食堂を経営しており、年齢層別に「コミュニティ店」と「商業圏店」を開設している。 靳さんは、「『コミュニティ店』では、放課後の小学生が親を待つことができる。子供は親が予約時に登録した携帯電話番号を伝えれば、ここで食事をしたり、宿題をしたりできる。一方、『商業圏店』では、サラリーマンに『家庭の味』を楽しんでもらっている。その他、専門の栄養士にメニューを考えてもらい、体形を気にしている若者を対象に、甘さ控えめや油控え目のセットコースを提供している」と説明する。北京や上海といった一線都市では、一部のコミュニティ食堂がいち早くネット上で話題となり、多くのネットユーザーが足を運ぶようになっている。企業情報サイトの企査査のデータによると、「コミュニティ食堂」を登録している企業数は既に4000社以上となっている。口コミサイト・大衆点評のアプリを見ると、「コミュニティ食堂」のブランド名がたくさんあり、チェーン店やフランチャイズ店が続々とオープンしているようだ。「コミュニティ食堂」はなぜ若者の間で人気になっているのだろうか?

北京市朝陽区にある「百味隣里コミュニティ食堂」の近くには食品市場があり、早朝その市場で買い物をすると、同食堂でバラエティーに富んだ朝食を食べることができる。近くの会社に勤務している王楠さんは、コミュニティ食堂で食事をする主な理由について、「オープンキッチンであるため、どんな食材を使っているかを見ることができて安心。コミュニティが責任を持って食品の安全性をチェックしてくれている。それに、家には子供がおり、仕事もしているので、自分で食事を作る時間がない」と説明する。SNSには、「おかず7-8種類で18元だった」や「1人12元で食べ放題」といったコミュニティ食堂関連の書き込みがあり、多くの若者がそうした書き込みに注目している。「大餐社区食堂」を経営する何さんは、「私と同僚は以前、昼食として鶏料理の黄燜鶏やケンタッキーフライドチキン、麻辣香鍋(野菜や肉を炒めたピリ辛料理)、または半調理製品などをもっぱら食べていた。若者はそのような食べ物に飽きたほか、健康のことも気にするようになり、コスパにも注目するようになったため、高齢者向けのコミュニティ食堂が人気になっているのではないか」と分析する。