マスクがこの夏一番の「苦行」? 涼しいマスクの効果は?
日増しに気温が上昇し、マスクをつけて出かけるのがますます苦痛になってきた。ネットユーザーの中には、「(マスクは)今年の夏一番の苦行」などと言う人もおり、マスクにも「クールダウン」効果を期待する人が増えてきた。するとたちまち、このビジネスチャンスに目をつけた企業が現れた。中国新聞網が伝えた。
方針転換のユニクロ 夏に「エアリズムマスク」発売
報道によると、日本の大手アパレルブランド「ユニクロ」の親会社ファーストリテイリングの柳井正社長はこのほど取材に答える中で、「今年の夏にマスク事業をスタートする」と述べた。この「夏に特別に提供する」マスクの主なセールスポイントは、夏のマスク装着時の暑苦しさを解消するというものだ。
どうやって暑苦しさを解消するのか。日本の英字新聞「ジャパンタイムズ」の報道によると、ユニクロが今回打ち出した大技は、独自の機能性商品「エアリズム」を利用するというものだ。ユニクロの看板素材であるエアリズムは、これまで下着類に使用されることが多かった。主な特徴は乾きやすい、通気性が高い、涼しい、防臭効果があるという4点で、確かにこれは夏のマスクに求められるポイントでもある。
価格をみると、エアリズムシリーズの商品は600円(約39元)から3000円(199元)ほどで買える。日本メディアの報道によれば、ユニクロは今回のマスクの価格をまだ決定していないが、日本円で千円くらいになるだろうという。この予想価格に対し、多くのネットユーザーから「高すぎる」と「ツッコミ」が入っている。
ユニクロがこのたびマスク生産にも乗り出したことには、その変わり身の早さがよく表れている。柳井氏は4月の決算会見では、「新型コロナウイルス感染症に直面しても、これまでの方針を堅持する。マスク製造の考えはない。服をつくるのが本業だ」と述べたばかりだった。
日本のNHKの報道によると、安倍晋三首相は5月25日に、同日より東京都を含む首都圏4都県と北海道の緊急事態宣言を解除すると発表し、これにより日本全国の緊急事態宣言がすべて解除された。
ファーストリテイリングによると、日本各地で感染症の緊急事態宣言が続々と解除されたが、感染予防措置として、消費者のマスクに対するニーズは引き続き大きい。好転する日本国内の情勢を前にして、ユニクロは前言を撤回しても、マスク市場に参入することにしたという。
しかし、ネットユーザーの中には目ざとく重要な問題に気づき、「マスクをするのはウイルス予防のためなのに、通気性のいいマスク?何のためにつけるのか……」と指摘する人もいる。
マスクのウイルス防御機能について、ユニクロは多くを語らなかった。
服からマスクへ アパレル産業が生産転換の中心に
感染症の中、業界の枠を超えてマスクを生産するのが盛んになった。「今マスクを作っている工場が元々何の工場だったのかわからなくなった」と言う人もいる。
同じく繊維産業に属するアパレル産業は、既存の生産のノウハウと豊富な人手があり、マスク市場参入のハードルは他の産業より低く、生産ラインの変更も相対的に難しくはなく、今回のクロスオーバーで重要な力になった。
プラダやシャネル、ルイ・ヴィトン、ディオールなどのハイブランドから、ギャップやZARA、H&Mなどのファストファッションブランドまで、どこも生産能力の一部をマスクに投入した。
そんな中、感染症が収束した後、生産転換した企業は過剰な生産能力という危機に直面する可能性があると多くの人が懸念している。
国家衛生健康委員会など3当局はこのほど発表した「公衆衛生予防・管理・救急・治療能力開発プラン」の中で、品質が検査に合格した十分な数の医療用マスク、防護服、ゴーグルなどの防護用品を医療機関が確実に備蓄するようにし、一般的な状況では10日分以上を備蓄することを提起した。このマスク備蓄の指示が通達されれば、マスクの需要と生産を大きく牽引することは間違いない。
しかし業界関係者の中には、「感染症は社会の特殊な緊急事態であり、こうした状況の中での市場ニーズはやはり一時的なもので、投機的心理は非常に危険だ。マスクへの生産転換を行うかどうかは実際の状況を踏まえて決めるべきであり、既存の資源を十分に活用してこそ、自分たちの優位性を適切に発揮できる」と見る人もいる。
暑い夏が近づき、出遅れたユニクロが涼しいマスクで反撃に転じるのは変化への対応だといえる。しかし多くのアパレル企業にとっては、撤退するか長期的に続けていくのかが、参入するかどうかよりも難しい選択になるだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月2日