1億枚のマスク生産能力は何を物語るか

2020年4月9日 - News 今月の話題 社会

石油化学企業がメルトブロー不織布を生産し、自動車メーカーがマスク製造器を製造し、建築材料メーカーがサーモガンを製造する……最近、多くの企業が相次いで業界の枠を超えて防疫物資を生産し、企業活動・生産活動が再開する中で希望の光になっている。工商情報検索サイトのデータによれば、現在は全国で企業数万社が新たにマスク、消毒液、医療用防護服といった防疫物資の生産業務を手がけている。マスクの生産能力だけでも、この1ヶ月間で4倍以上拡大し、1日あたりの生産能力は1億枚を突破した。人民日報アプリが伝えた。

1億枚のマスク生産能力の背後には、製造業企業の急速な生産転換があり、そこに映し出されるのは、中国製造(メイド・イン・チャイナ)の優位性とポテンシャルだ。

中国の完全に整った工業システムが、生産の迅速な調整や産業チェーンの再構築を可能にしている。衣料品工場が医療用防護服の生産に転換し、酒造メーカーが医療用アルコールを、建築材料メーカーが医療用消耗品を生産する。こうした企業はまったく基礎のない分野に生産を転換したのではない。中国は41の工業大分類、207の工業中分類、666の工業小分類を擁し、同分類の産業の中に業務は共通するが分業している企業が非常に多くあり、このことが業界の枠を超えた生産転換の成功率と効率を高めた。同時に、川上から川下まで連携した産業チェーンの再構築も有効な生産能力の形成を加速させるカギになった。「当社にはメルトブロー不織布がある、どこかにマスク製造機はないか?」。マスク生産に転換した中国石化が微博(ウェイボー)でこのように呼びかけると、すぐに多くの企業から反応があった。生産ラインを迅速に調整し、産業チェーンを迅速に再構築したことから、中国が国連の国際標準産業分類のすべての工業分類を擁する世界で唯一の国であるという独自の優位性が十分にうかがえる。ずらりと色をそろえたパレットがあるからこそ、自身をもって臨機応変に絵を描くことができるようなものだ。

十分な数があり、質も絶えず向上する労働力資源があるため、企業は生産転換のための戦闘力を迅速に整えることができる。生産転換の業務のために、企業の中には短期間で設計開発と生産製造という2つの任務をこなさなければならないところも出てくる。設計担当者が速やかに設計開発を進めて生産ラインを改造できること、作業員が迅速に新しい生産技術を掌握できることが、企業が生産転換を成功させ生産力を形成するための重要な要素になる。

複数の当局が「最低保障政策」を支持することにより、生産転換をする企業は後顧の憂いなく全力で生産に取り組むことができた。国家発展改革委員会、工業・情報化部(省)、財政部(財務省)は特別金利で資金を貸し出す国の臨時備蓄制度を構築し、感染症終息後の余剰生産量は、政府が買い付けて備蓄する方針を明らかにした。感染症対策での重点保障企業についてはリスト制管理を実施し、税金や金融面での支援を提供する。市場監督管理当局は特別な状況に特別な方法で対処し、グリーンルートを開通し、条件を満たした企業には最短の時間で営業許可証と生産許可証を発行する……1つ1つの政策が、力を集中して重大事に対処する制度の優位性を十分に示している。

今は国際的な感染症対策の協力強化が必要であり、それと同時にメイド・イン・チャイナもグローバル産業チェーンの再構築に積極的に関わり、目下の市場ニーズを利用してより多くのコア技術を確立し、世界の先端製造業を誘致し、新興産業クラスターの構築を加速し、グローバル産業チェーンがスムーズに循環するよう寄与するべきだ。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月8日