両会で注目される中日関係 専門家の目に映る緩和と懸念
中国にとって3月は「全国両会」(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)シーズンだ。中日関係の発展に関心を持つ人々にとって、3月は中日関係が回復・改善という良好な発展の道へと真に向かうことへの期待を抱く時期とも言える。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)
最近の中日関係には前向きで注目に値する好転の兆しが生じている。日本政府要人は中日関係緩和に向けた積極的なメッセージを立て続けに発している。これは良い兆しであり、肯定に値すると言えよう。2018年は中日関係にとって、大変非凡な1年であり、中日平和友好条約締結40周年にもあたる。このような特別な年に、中日関係が転機を迎えることができれば、中日平和友好条約締結40周年にとって最良の記念となる。
全国政協第13期第1回会議の王国慶報道官は2日、中日関係に関する記者の質問に答えた際、「中日関係にはいい時も悪い時もある。その原因は、歴史問題に対する日本政府の認識が二転三転する点と中国を日本の戦略的ライバルと見なす日本の一部政治屋の狭い考えにある。過去の忘却を試み、歴史を直視する勇気のない国が尊敬を得るのは難しく、一心に近隣国を戦略的ライバルと見なそうとする国は未来を得られぬ運命にある。上の世代の政治家が提唱した『歴史を鑑として未来に向かう』という言葉を真に成し遂げ、両国民の幸福を真に出発点とすることさえできれば、中日関係は必ずこの『いい時も悪い時もある』の悪循環を脱することができる」と指摘した。
では、どうすれば中日関係を真に好転させ、安定した道へ向かわせることができるのだろうか?
第1に、日本側は歴史問題と領有権問題が「大したことではない」といったような小さな問題ではないことを明確に認識するべきだ。日本側は歴史問題と領有権問題が中日関係における「レッドライン」であり、中日関係における「高圧線」であることを知るべきだ。日本側は歴史問題と領有権問題の扱いにおいて、終始畏敬の念を抱き、歴史問題と領有権問題は高度に敏感な問題であることを常に銘記すべきだ。もし日本側が歴史問題と領有権問題で逸脱することも辞さないのなら、必ず大きな代償を払うことになる。
第2に、日本側は考えを変え、時代後れの冷戦思考を捨てるべきだ。まさしく時代後れの冷戦思考に導かれる形で、日本側は中国の全ての合法的で理と情にかなった発展や進歩を脅威や挑戦と見なし、さらには焦慮を募らせ、容認できないとすら考えている。このため、引き続き米国との同盟関係を強化しようとし、また中国と溝がある国をもっと抱き込み、共に中国の発展を封じ込め、抑え込もうと愚かにももくろんでいる。このように冷戦思考にひどく囚われている日本政界が、冷戦思考の泥沼にはまり抜け出せない日本政府要人が、どうして中国の発展と拡大を冷静に、客観的に、公正に受け止めることができるだろうか?そして中日関係の前向きな発展を真に後押しすることができるだろうか?
第3に、日本側は中日友好関係の発展を長期的・戦略的行動とするべきであり、中日関係を「都合が良ければ用い、悪ければ捨てる」道具と見なしてはならない。もし日本政府要人が、対中関係の深化を長期的・戦略的行動と考え、長期的にマクロ的な視点から、さらには中日の子々孫々の利益のためと考え、さらに対中関係発展において外部や国内のいかなる要因の妨害も受けないのなら、この方式に従って発展する中日関係は、いつか必ず長期的な安定した進歩とレベルアップを成し遂げることができるだろう。
第4に、「まいた種は自ら刈り取れ」。中日関係の膠着状態という「結果」をもたらした日本側がその「原因」を探らなければならない。この「原因」はどこにあるのか?日本側の偏見に満ちて、近視眼的で、「プラグマティズム」の心理にあることをだ。まさに中国に偏見を抱いているからこそ、「中国は新たな覇権の脅威」といういわれなき不安を抱いているといえる。まさに中国に対して近視眼的であるからこそ、「中国との関係発展はあってもなくてもよい」という外交における迷いが生じ、「プラグマティズム」の外交思想があったからこそ、「必要時には関係を発展させ、不要時には距離を置く」という外交的悪循環があったのだ。日本側がこうした偏見に満ちて、近視眼的で、「プラグマティズム」の心理を徹底的に捨て去った時、中日関係は「初心を忘れず、未来を開く」平和友好の安定した道を歩み出すことができるだろう。