中国の世界遺産申請30年の歩み 登録済み遺産の数は世界第2位に

2018年1月17日 - 文化

1987年に中国の万里の長城と故宮などが世界遺産に登録されてから、中国の「世界遺産申請」はすでに30年の歳月を歩んできた。この30年間で中国の世界文化遺産は増え続け、遺産の種類も豊富になっているほか、遺産保護の経験も積み重ね続けられてきた。
中国世界文化遺産30周年記念フォーラムがこのほど北京で開催された。フォーラムでは、新時代の文化遺産の保護や継承、文化遺産の交流などの話題について踏み込んだ議論が展開された。
▽保護―文化遺産を現代社会に浸透させ、合理的に利用する予防的保護
現在、中国はすでに52項目の世界遺産が登録されている。その内訳は世界文化遺産36項目、世界文化及び自然複合遺産4項目、自然遺産12項目となっており、その総数は国別で世界第2位。中国世界文化遺産30周年記念フォーラムの席で、「現在、文化遺産の保護は修復をメインとした保護から、修復と予防を並行させた保護へと転換させることが急務だ」と指摘する専門家と学者が少なくなかった。
国家文物局の宋新潮副局長は、「文化遺産本来の姿に基づいた補強と修繕、日常的なメンテナンス作業が予防的保護だ」とし、予防的保護は小さな投入と長期的なメンテナンス作業を続けることで、長期的な利益を得るとしている。
予防的保護は、「隔離させた保護」や文化遺産を祀り上げるような保護を指すわけではなく、むしろ文化遺産を継承、保護するのと同時に、文化遺産と人々との距離を縮め、文化遺産を現代社会により浸透させ、文化遺産の合理的な利用を促進するものだ。
宋副局長は、「文化遺産と現代社会の調和を構築するため、新たな公開展示モデルを堅持することがポイントとなる。つまり保護を最優先とし、各地の実情に合わせ、適度な公開を行うという原則を堅持する。同時に、文化遺産の保護を人々の現代生活に浸透させ、地元の住民も展示モデルに関われるような方法を模索、奨励し、文化遺産の保護から利益を獲得することで、人々の文化遺産保護に対する意欲を高めていく」と指摘した。