ペットに対する健康意識高まる中国の若者 新たな職業も誕生
手術後のゴールデンリトリバーを水中で散歩させたり、過体重のコーギーのダイエットをサポートしたり、動けなくなっている野良猫に脊椎矯正を施したりというのが最近、中国の動物理学療法士の日常的な仕事となっている。中国では近年、ペット医療業界が急速に発展し、動物理学療法士といった新しい職業が若者の間で人気を集めている。90後(1990年代生まれ)の動物理学療法士である覃翀豪さんは2009年以来、イヌやネコ約500匹のリハビリをサポートしてきた。今でも、一般診療のほか、1週間に動物約5匹のリハビリをサポートしているという。そんな覃さんは、動物理学療法士になった理由について、「子供の頃から小動物が好きだった。自分が飼っていた小動物が病気になり、ペットショップに治療の方法を聞きにいった。その時の治療の結果はあまりよかったとはいえず、そこから動物の治療に興味を持つようになった。それで、大学では動物医学を専攻することにした」と話す。ペットのリハビリに長年携わっていく中で覃さんは、「治療やリハビリのためにペットを動物病院に連れて来るのは、ほとんどが比較的高い教育を受けた若者であることに気付いた」といい、「飼い主自身もフィットネスやヨガをしていて、ペットのリハビリの重要性をよく理解している。また若者はソーシャルメディアでペットのリハビリに関して意見や経験を交換している」とした。「2023年中国ペット健康消費白書」によると、ペットの健康関連の消費の主力軍となっている一線・二線都市に住む20代の若者は、高学歴と高収入という特徴があるほか、3人家族、または子供のいない夫婦のケースが多い。その消費ニーズは主に、ペットの栄養・ヘルスケア、医療サービス、医薬・医療機器に集中している。今の若者がペットの健康を守るためにお金を使うことを厭わないのはなぜなのだろうか?中南大学・社会学部の盧娜娜氏と李桂平氏の研究によると、今の若者とペットの関係には変化が生じているとしている。例えば、若者のペットフードに対する考えは、「適当にあげればいい」から「理に適った方法であげなければならない」へと変化し、遊ばせる理由も、エネルギー発散からメンタルケアへと変化しているという。