通信速度が5Gの10倍となる5.5G、2025年に商用化へ

2023年6月13日 - 今月の話題 社会

■注目される裸眼3D小型ディスプレイ「この3D効果は競技場で観戦しているようで、立体的に選手を見ることができる」。2023年中国国際情報通信展示会では、裸眼3Dタブレットが競技場で球技を観戦する没入感をもたらしていた。「AI(人工知能)によってある観客の目を追跡することで、より良い視覚効果を発揮する」。中興通訊(ZTE)の展示ブースのスタッフは、「このタブレットはAI眼球追跡技術により最適な視角をリアルタイムでマッチングし、そして2Dから3Dへとコンテンツをリアルタイムで切り替える処理能力を持っている」と説明した。裸眼3Dが近年たびたび注目を集めてきた。一部の繁華街では屋外裸眼3D大型ディスプレイが人気スポットになっている。多くのメーカーも裸眼3D小型ディスプレイ製品の展開を開始した。例えば宏碁(エイサー)は昨年5月の世界春季新製品発表会で裸眼3D版eスポーツ用ノートPCを発表した。Leiaは裸眼3Dアンドロイドタブレットを発表した。

中興通訊は今年4月に国内市場向けにAI裸眼3Dタブレットを正式に発表した。裸眼3Dは屋外の大型ディスプレイから家庭用の小型ディスプレイに進出し、「贅沢品」から徐々に日用消費財に変わっている。24年はさらに裸眼3D機能に対応する携帯電話が発表されるブランドが出てくる見通しだ。

■5.5Gがもたらすより多くの新たな応用通信専門家の項立剛氏は、「5.5Gは通信速度を5Gの10倍に高め、遅延を10倍短縮し、接続密度を10倍に上げ、測位精度も5Gの準メートル級からセンチメートル級に高める。これらの重要な新技術は、3Dインターネットさらにはメタバース時代の到来を推進することになる」と述べた。中国通信標準化協会の聞庫理事長は、「5.5Gは単なる5G技術の強化ではなく、電源レスIoTや通信・感知一体化などの新技術を導入し、5Gの多元的な能力を形成し、5Gネットワークの使用効率を最大化すると同時に相乗効果を発揮する」と述べた。これらの新技術は5.5Gにさらに多くのサプライズをもたらす。電源がなくても薄い「シール」を貼るだけで信号をキャッチできる。将来的に宅配とフードデリバリーでこの小さな電源レスIoT端末を貼れば、その正確な位置をリアルタイムで追跡できるようになる。電源レスとは電池と電源を必要としないことを意味する。電源レスIoT端末にはRFコイルが搭載されており、基地局からの信号を受信し、信号により情報を伝送する。

電源レスIoTの応用シーンは非常に幅広く、その端末を倉庫の貨物に貼ればスマート倉庫を実現し、管理を最適化できる。フードデリバリーの荷物に貼れば、そのルートを正確に把握できる。家電に貼ればその温度などの情報をモニタリングし、安全対策を行える。工場内で使用すれば生産効率を高め、生産ラインの材料の配送状況をモニタリングできる。

中国国際情報通信展示会の中国聯通(チャイナ・ユニコム)の展示ブースで、あるコンパクトな通信・感知・計算・制御一体型基地局が注目された。中国聯通のスタッフは、「この基地局は5.5Gネットワークに基づき、通信ネットワークと感知ネットワークを一体化させている。これによって自動車は速やかに歩行者と付近の車両を感知し、事故車両を回避できる。現在のスマート運転の多くが車体の車載センサーに依存しているが、将来の道路にこのような基地局を設置すればすべての車に『目』を取り付け、スマートな運転を実現できる」と説明した。

■25年に商用化へ5G商用化からすでに4年がたち、中国では世界最大規模で技術が最も先進的な5Gネットワークが完成した。今年4月末現在完成した5G基地局は累計273万ヶ所以上で、5Gネットワークが中国全土のすべての地級市(省と県の中間にある行政単位)と県庁所在地市街区域をカバーしている。5G携帯電話ユーザー数は6億3400万人に達している。中国工程院院士の鄔賀銓氏は、2023年中国国際情報通信展示会で、「5Gの能力と効果は現在、業界分野により多く集中しており、消費応用側にはまだ十分に現れていない。鉱業、港湾、電力などの重点業界の5G応用ソリューションが多いが、消費者の5Gに対する実感は深まっていない。5.5Gはこの局面を打破する鍵となる可能性があり、25年には商用化される見通しだ」と述べた。