成都のレストラン、清掃員らに無料の食事 約9年で30万食を提供

2026年10月13日 - 社会

四川省成都市双流区のレストラン「泰合素食」が、清掃員やフードデリバリー配達員らに無料で食事を提供する取り組みを続けています。2017年12月の開始から約9年で、提供した食事は約30万食に上ります。

無料の朝食を食べるために列に並ぶ清掃員。撮影・祝歓

早朝5時。まだ街が暗い時間帯から、店内では朝食の準備が始まります。店員だけでなく、緑色の作業服を着た清掃員も店に入り、テーブルや椅子を並べたり、窓を開けたりします。清掃を終えた人たちは、温かい粥や饅頭などを口にします。

清掃員として20年以上働く廖淑英さんは、毎朝午前4時すぎに起きて担当区域の清掃を済ませた後、店に立ち寄ります。「自分で朝食を作る手間が省けますし、お金の節約にもなります」と話しています。こうした生活は、まもなく9年になるということです。

冷たい饅頭を食べる姿がきっかけ

取り組みのきっかけは、店主の王成富さんが、開店したばかりの2017年12月、店の外で清掃員が冷たい饅頭を食べている姿を見たことでした。王さんは、まず飲み物を提供できないかと考え、調査を重ねた末に、清掃員への無料朝食を始めました。

当初は「宣伝のためではないか」「長く続くのか」と疑う声もあったといいます。王さんは各地域を訪ねて清掃員に店へ来るよう呼びかけました。その結果、2017年12月24日には、1日当たり40~50人が朝食を食べに来るようになりました。現在は、毎日100人以上が利用しています。

四川省の地元メディアによると、2025年7月時点で、無料食事の提供数は28万食を超えていました。利用者は清掃員に加え、交通整理員、宅配便配達員、フードデリバリー配達員、配車サービスの運転手などにも広がっています。利用者は受付の名簿に名前と電話番号を記入すれば、無料で食事を受け取れます。

無料の朝食を食べる清掃員たち。撮影・祝歓

無料朝食から「無料の3食」へ

2021年には、双流区総工会(労働組合に相当)の支援を受け、店の拠点は報道閲覧や救急用品、携帯電話の充電などを備えた「職工驛站(労働者向けの休憩拠点)」へと発展しました。

さらに2022年には、双流区総工会と店の労働組合が協力し、無料朝食を無料の3食へ拡大しました。対象も清掃員だけでなく、フードデリバリーや宅配便の配達員など、新たな就業形態で働く人たちに広がっています。中国新聞網によると、現在、店の運営費のおよそ40%は工会からの補助金で賄われています。

活動には、社会のさまざまな人たちも加わっています。山東省の野菜業者は長年にわたって低価格で野菜を供給し、西南民族大学の学生は休日にボランティアとして店を手伝っています。店内には閲覧室や休憩室も設けられ、暑さ対策用品なども用意されています。

店では現在、高齢者支援や若者への教育、知的障害者や障害者への無料食事など、七つの公益活動を展開しています。また、夜遅くに仕事を終える若者向けに、通常23元(約500円)の料理を13元で提供する「夜帰人計画」も始めました。

王さんは中国新聞網の取材に対し、公益活動は施しではなく、必要としている人が「見てもらい、認めてもらう」ためのものだと説明しています。店が営業を続ける限り、活動も続けていく考えです。

参考リンク

[1] 中国新聞網「从“多双筷子”到30万份免费餐 成都一餐厅爱心餐温暖一座城」

[2] 四川在線「C视觉丨8年送出28万份免费餐 ,半米厚的登记册充满温暖」

[3] 紅星新聞網「平凡之善|坚持近五年 成都双流一餐厅为环卫工人每天提供免费爱心餐」

[4] 人民網日本語版「清掃員に朝食を無料で提供する成都のレストラン 9年で30万食」

      

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