ショート動画で「バズる」伝統文化 京劇や影絵に若者ハマる 中国

【4月21日 People’s Daily】2019年、「抖音(Douyin)」や「快手(Kuaishou)」などの中国ショート動画市場は2000億元(約3兆円)にのぼり、ユーザーは8億2000万人に達した。ユーザーは互いに、「刺さる」動画を作ろうと、手軽で感覚的、なおかつ最新技術を駆使した投稿があふれている。その中で意外なことに、中国の伝統芸術が扱った動画が「バズる」コンテンツとして若者の間で絶大な人気を集めている。

典型的な例が京劇などの伝統演劇だ。湖北省(Hubei)や安徽省(Anhui)が発祥で中国五大演劇の一つ「黄梅劇」の演目「女駙馬」の一部を演じたショート動画が投稿されると、あっという間に人気に火が付いた。若いユーザーたちが争うように模倣し、芸術性や表現力を競い合った。

京劇の人気も広まった。実在の風景にバーチャル情報を重ねるAR(拡張現実)技術を使い、「隈取り」という京劇の特殊メイクを画面上でほどこし、京劇の衣装をまとった自撮り動画が流行。1800万人以上が特殊メイクを使い、その大半を若者が占めている。

伝統演劇の音曲を取り入れたヒット曲「説唱臉譜」「離人愁」「琵琶行」を題材にした動画も大人気。2019年上半期までに「抖音」で伝統文化に関係した投稿は6500万件を超え、閲覧者の「いいね」は44億件を超えた。

伝統文化への関心は演劇だけにとどまらず、刺繍や切り紙細工、染め物、影絵芝居、竹細工、木工などにも広がった。国家級の無形文化財に指定されている伝統文化約1300項目のうち、2019年中に1200種類の動画が「抖音」に投稿された。

「快手」では2019年上半期で伝統文化をテーマにした動画が1800万件にのぼり、閲覧回数は300億回、「いいね」の総計は7億回に達した。ショート動画は「90後(1990年代生まれ)」「00後(2000年代生まれ)」の若者が伝統文化を体験する重要なツールとなった。

ショート動画は短いと数秒、長くても1分足らずだが、中国の伝統文化を凝縮してその魅力を伝えている。(c)People’s Daily/AFPBB News