長さ123mの超大型洋上風力発電機ブレード、その作り方とは?
福建平潭沖で6月28日、洋上風力発電機設置プラットフォーム「白鶴灘号」などの協働により、長さ123メートル・3基の16MW洋上風力発電機ブレードの据え付けが完了し、現在世界最大の洋上風力発電機が回転を開始した。
123メートルはおよそ40階建てビルに相当する高さだ。これほど長いブレードには300人の成人が同時に肩を並べて立つことができる。発電機インペラの直径は252メートルに達し、中国の国産旅客機「C919」を6機つなぐ長さに相当し、受風面積はサッカーコート7面分に相当する。
長いだけでなく、ブレード内部の主桁構造は初めて炭素繊維材料を採用し、20%の軽量化を達成。このほか、ブレードの96%以上の材料が国産化されており、100%独自の知的財産権を持つ。超大型ブレードのこれらの優れたところは、中国の風力発電技術の国際市場進出に向けた基礎をしっかり固めた。
世界には完全に同じ2枚の葉がなく、完全に同じ2基の風力発電機ブレードもない。海域や風の状況がそれぞれ異なるため、ブレードの形にも独自色がある。
新疆金風科技股份有限公司(金風科技)研究開発センターブレード構造エンジニアの袁淵氏は取材に、「風力発電機のブレードは風力エネルギーを捕捉し、これを回転子軸に伝える。ブレードの形の設計と構造形式は発電機の性能と出力を直接左右する。そのため異なる地域の風力資源の特徴に対して、ブレードのカスタマイズを行う必要がある」と述べた。
福建省福州市平潭県で、16MWブレードの面風速の差は1秒当たり最大5−10メートルにのぼり、運転時の極値突風(EOG)は国際電気標準会議(IEC)の基準を50%上回る。風力資源評価をより正確にするため、金風科技の研究開発チームは海外のマルチソース観測資料融合技術と中国初のバーチャル風力測定技術を結びつけ、2つの技術システムの観測結果を相互に参照し、風力資源データの正確な評価を実現した。
評価を経て、ややもすると100メートルにのぼるブレードの実際の環境におけるテストが実現不可能となり、シミュレーションが鍵を握る代替手段になった。金風科技が独自に研究開発したシミュレーションプラットフォーム「風匠」を利用し、現場の物理現象が高忠実度かつ高精度で再現され、ブレードと発電機ペイロードも高精度のシミュレーションが可能になる。エンジニアはブレードの形をリアルタイムで調整し、安全運転を前提とした最適なエアギャップ余剰量の限界を模索し、最適化設計を実現した。
江蘇省塩城市で、長さ123メートルのブレードが5つの大工程と数百の小工程、22日間を経た後誕生した。
国際風力発電機大手ベスタスによる炭素繊維主桁構造ブレード引き抜き成形の特許権が2022年7月19日に終了した。特許の壁が取り払われ、中国の炭素繊維ブレードが大規模製造のブームを迎えた。当時は16MWブレードの研究開発が行われていた。製造チームは新たな発展の流れに乗り、炭素繊維を主桁構造材料に選定し、後退翼設計を採用した。超大型フレキシブルブレードの曲げ・ねじりカップリング効果を合理的に利用し、ブレードベースの限界負荷を約3%下げると同時に、ブレードの重量を従来製品より20%以上減らし、ブレードの据え付けと輸送の難易度を大幅に軽減した。
ブレードの研究開発と製造段階では、ベスタスの炭素繊維ブレード引き抜き成形の特許権が終了したにもかかわらず、中核をなすグラウト技術の特許権が引き続き保護期間内だった。グラウトはブレードメインウェブプレート製造の鍵となる段取りで、樹脂液をブレードの隅々に徐々に均等に分布させるためには、精巧なルート設計と精密なグラウト技術が必要だ。特許侵害を回避するため、風力発電機開発チームは技術ロードマップを変更し、独自のグラウト技術特許を形成した。ブレードの技術・工法において100%独自の知的財産権を保証した。