新型肺炎をめぐる中日協力を三つの角度から考察

2020年2月21日 - News

新型コロナウイルス感染による肺炎の予防・抑制の過程において、中国には多くの国から技術や物資、義援金などの支援が寄せられた。そのうち、日本からの支援は比較的力強いものであっただけでなく、その形式も非常に感動的なものだった。医療用マスクや防護ゴーグル、防護服など不足している物資だけでなく、日本の社会各界から多くの義援金も寄せられた。さらには多くの中国人を感動させた文章や言葉、行動による支援もあった。

今回の世界的な新型コロナウイルス感染拡大において、日本はこれまで中国以外で感染者が最も多く確認された国であり、感染の予防・抑制のプレッシャーも大きい。特に日本のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の状況が憂慮されている。日本政府は16日、専門家会合を開き、「国内発生の早期の段階」だという認識で一致した。中国政府もこのほど、日本へ支援を提供し、情報の報告と技術協力を強化する意向を示した。

感染が拡大する中で、中日両国の間で行われている助け合いが注目されているが、それを次の三つの角度から考察することができる。

(1)感染拡大を前にして、日本が完全に局外に身を置くことは不可能

新型コロナウイルスという敵を前にして、人類は一蓮托生の運命共同体であり、協調せずに自国のことだけを考えていられる国は一つもない。世界が緊密に団結して共同で対応することこそが正しい道だ。まさに孔鉉佑駐日大使が述べたように、「各国は一つの世界に共存しており、公衆衛生上の緊急事態の前では運命を共にしている。自国のことだけを考えていればいい国など一つもない」のだ。

今回の新型コロナウイルスの特徴は感染力が強いことだ。中国と日本は隣国どうしであり、人の往来状況は極めて密となっている。こうした状況下で中国を力強く援助することは、日本にとって理に適った理性的な選択といえる。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の船内で感染が拡大するにつれて、日本はますます厳しい予防・抑制上のプレッシャーに直面している。特に今夏には東京オリンピックの開催が予定されており、感染拡大の影響は予測が困難だ。

このような状況においては、中国で発生した感染状況に対して、日本が完全に身を局外に置くことは不可能だ。日本の中国への支援は、一衣帯水の友好関係を十分に体現しているだけでなく、ある意味においては自身を助けることでもある。

(2)両国関係の回復という背景が積極的な助け合いを後押し

世界第2と第3のエコノミーである中国と日本は、世界という舞台で大きな影響力を持ち、両国が「和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく」の間柄にあることは、歴史的にも、現実においても証明されている。

2017年以降、中日関係は徐々に好転し、両国の指導者は2国間や多国間の外交シーンで何度も会談し、重要な共通認識に達し、各分野の協力も強化されている。そのため、感染が拡大して以来、日本政府と政界トップレベルが次々と積極的な態度を示していることは、ここ数年中日関係が回復している背景と密切な関わりがある。この過程において、中日間でさまざまな分野において蓄積されてきた強力な協力ポテンシャルエネルギーが、感染状況の拡大という外部的な要因に触発されて、いっそう解き放たれ、実際の行動へと転化されやすくなり、客観的な意味で日本の積極的な中国支援を促すこととなった。

注目すべきは、今回日本が示した積極的な中国支援の態度と行動が、日本に対する中国の世論をかなり大きく動かしたことだ。「山川異域、風月同天(山川域を異にすれども、風月天を同じうす)」などの言葉は、人々に中日文化交流史を思い起こさせただけでなく、中国のネットユーザーたちに固定観念化していた日本のイメージを修正させることにもなった。

実のところ、今世紀に入って以来、中日両国は2003年のSARSの流行、2008年の四川◆川地震(◆はさんずいに文)、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故において、何度も助け合い、感染状況への対応や災害後の救助において互いに支援を行ってきた。これまでに行われてきた助け合いは、相手国が災害に見舞われ、感染症が拡大した際に、傍観するのではなく支援の手を差し伸べることが両国の人心が向かうところであることを物語っている。中日が今回のウイルスとの闘いの過程で見せたさまざまな助け合いが、2国間関係の将来の発展にどのような影響を与えるかは、これからも注目するに値する。

(3)中国市場の日本経済に対する意義は重大

先ごろ、ある日本メディアは、安倍政権が「親中」政策を取る根本的な理由は、日本経済の中国に対する強い依存性だと分析した。この分析はまったく道理に適っている。なぜなら中国はすでに何年も連続で日本の最大の貿易相手国となっており、日本も中国にとって重要な貿易相手国であるからだ。日本は少子高齢化がますます加速しており、もし巨大な中国市場を失えば、日本経済は大きな傷を負うことになるだろう。

日本税関の統計によると、2018年の日本と中国の2国間物品輸出入額は3175億3千万ドル(1ドルは約112.1円)で、日本の対中国輸出は1439億9千万ドル、中国からの輸入は1735億4千万ドルだった。また中国政府網によると、2019年1-9月の中日貿易総額は2318億6千万ドルで、そのうち中国の対日輸出は1061億8千万ドル、日本からの輸入は1256億8千万ドルだった。双方の統計データは、中国と日本という2大エコノミーには経済貿易協力において極めて大きな共通利益があることを物語っており、これは2国間関係が実務的態度を取るうえでの基盤の一つになっている。

このほか、中国大陸部も日本にとって最も重要な観光客の送り出し国となっており、いかにしてりより多くの中国人観光客を引き付けられるかが、日本政府と観光業界の重要な課題となっている。NHKの今年1月10日の報道によると、2019年に日本を訪れた外国人観光客は3188万人に達し、7年連続で最高記録を塗り替え、そのうち中国大陸部からの観光客が最も多く、消費能力が高かった。観光業の発展に力を注ぎ、外国人観光客4千万人という目標を早急に実現したい日本にとって、中国大陸部は極めて大きな収入源だ。

今回日本が中国に対して行った力強い支援は、ある一定の意味において、効果の極めて高い「イメージプロモーション」でもあった。日本に対して厳しい目を持つ中国のネットユーザーたちも、今回は日本政府と国民に対してポジティブな見方をし、日本が中国に対して示した善意を肯定的に受け止めている。さらに、ネットユーザーからは「感染状況が収まったら、必ず日本に旅行に行き、日本社会の善意と友好に応えたい」という声も上がっている。(編集AK)

「人民網日本語版」2020年2月21日

新型コロナウイルス感染による肺炎の予防・抑制の過程において、中国には多くの国から技術や物資、義援金などの支援が寄せられた。そのうち、日本からの支援は比較的力強いものであっただけでなく、その形式も非常に感動的なものだった。医療用マスクや防護ゴーグル、防護服など不足している物資だけでなく、日本の社会各界から多くの義援金も寄せられた。さらには多くの中国人を感動させた文章や言葉、行動による支援もあった。

今回の世界的な新型コロナウイルス感染拡大において、日本はこれまで中国以外で感染者が最も多く確認された国であり、感染の予防・抑制のプレッシャーも大きい。特に日本のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の状況が憂慮されている。日本政府は16日、専門家会合を開き、「国内発生の早期の段階」だという認識で一致した。中国政府もこのほど、日本へ支援を提供し、情報の報告と技術協力を強化する意向を示した。

感染が拡大する中で、中日両国の間で行われている助け合いが注目されているが、それを次の三つの角度から考察することができる。

(1)感染拡大を前にして、日本が完全に局外に身を置くことは不可能

新型コロナウイルスという敵を前にして、人類は一蓮托生の運命共同体であり、協調せずに自国のことだけを考えていられる国は一つもない。世界が緊密に団結して共同で対応することこそが正しい道だ。まさに孔鉉佑駐日大使が述べたように、「各国は一つの世界に共存しており、公衆衛生上の緊急事態の前では運命を共にしている。自国のことだけを考えていればいい国など一つもない」のだ。

今回の新型コロナウイルスの特徴は感染力が強いことだ。中国と日本は隣国どうしであり、人の往来状況は極めて密となっている。こうした状況下で中国を力強く援助することは、日本にとって理に適った理性的な選択といえる。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の船内で感染が拡大するにつれて、日本はますます厳しい予防・抑制上のプレッシャーに直面している。特に今夏には東京オリンピックの開催が予定されており、感染拡大の影響は予測が困難だ。

このような状況においては、中国で発生した感染状況に対して、日本が完全に身を局外に置くことは不可能だ。日本の中国への支援は、一衣帯水の友好関係を十分に体現しているだけでなく、ある意味においては自身を助けることでもある。

(2)両国関係の回復という背景が積極的な助け合いを後押し

世界第2と第3のエコノミーである中国と日本は、世界という舞台で大きな影響力を持ち、両国が「和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく」の間柄にあることは、歴史的にも、現実においても証明されている。

2017年以降、中日関係は徐々に好転し、両国の指導者は2国間や多国間の外交シーンで何度も会談し、重要な共通認識に達し、各分野の協力も強化されている。そのため、感染が拡大して以来、日本政府と政界トップレベルが次々と積極的な態度を示していることは、ここ数年中日関係が回復している背景と密切な関わりがある。この過程において、中日間でさまざまな分野において蓄積されてきた強力な協力ポテンシャルエネルギーが、感染状況の拡大という外部的な要因に触発されて、いっそう解き放たれ、実際の行動へと転化されやすくなり、客観的な意味で日本の積極的な中国支援を促すこととなった。

注目すべきは、今回日本が示した積極的な中国支援の態度と行動が、日本に対する中国の世論をかなり大きく動かしたことだ。「山川異域、風月同天(山川域を異にすれども、風月天を同じうす)」などの言葉は、人々に中日文化交流史を思い起こさせただけでなく、中国のネットユーザーたちに固定観念化していた日本のイメージを修正させることにもなった。

実のところ、今世紀に入って以来、中日両国は2003年のSARSの流行、2008年の四川◆川地震(◆はさんずいに文)、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故において、何度も助け合い、感染状況への対応や災害後の救助において互いに支援を行ってきた。これまでに行われてきた助け合いは、相手国が災害に見舞われ、感染症が拡大した際に、傍観するのではなく支援の手を差し伸べることが両国の人心が向かうところであることを物語っている。中日が今回のウイルスとの闘いの過程で見せたさまざまな助け合いが、2国間関係の将来の発展にどのような影響を与えるかは、これからも注目するに値する。

(3)中国市場の日本経済に対する意義は重大

先ごろ、ある日本メディアは、安倍政権が「親中」政策を取る根本的な理由は、日本経済の中国に対する強い依存性だと分析した。この分析はまったく道理に適っている。なぜなら中国はすでに何年も連続で日本の最大の貿易相手国となっており、日本も中国にとって重要な貿易相手国であるからだ。日本は少子高齢化がますます加速しており、もし巨大な中国市場を失えば、日本経済は大きな傷を負うことになるだろう。

日本税関の統計によると、2018年の日本と中国の2国間物品輸出入額は3175億3千万ドル(1ドルは約112.1円)で、日本の対中国輸出は1439億9千万ドル、中国からの輸入は1735億4千万ドルだった。また中国政府網によると、2019年1-9月の中日貿易総額は2318億6千万ドルで、そのうち中国の対日輸出は1061億8千万ドル、日本からの輸入は1256億8千万ドルだった。双方の統計データは、中国と日本という2大エコノミーには経済貿易協力において極めて大きな共通利益があることを物語っており、これは2国間関係が実務的態度を取るうえでの基盤の一つになっている。

このほか、中国大陸部も日本にとって最も重要な観光客の送り出し国となっており、いかにしてりより多くの中国人観光客を引き付けられるかが、日本政府と観光業界の重要な課題となっている。NHKの今年1月10日の報道によると、2019年に日本を訪れた外国人観光客は3188万人に達し、7年連続で最高記録を塗り替え、そのうち中国大陸部からの観光客が最も多く、消費能力が高かった。観光業の発展に力を注ぎ、外国人観光客4千万人という目標を早急に実現したい日本にとって、中国大陸部は極めて大きな収入源だ。

今回日本が中国に対して行った力強い支援は、ある一定の意味において、効果の極めて高い「イメージプロモーション」でもあった。日本に対して厳しい目を持つ中国のネットユーザーたちも、今回は日本政府と国民に対してポジティブな見方をし、日本が中国に対して示した善意を肯定的に受け止めている。さらに、ネットユーザーからは「感染状況が収まったら、必ず日本に旅行に行き、日本社会の善意と友好に応えたい」という声も上がっている。(編集AK)

「人民網日本語版」2020年2月21日